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事務所所在地

税理士法人 メディカルビジネス

■本社
東京都千代田区隼町2-17
パレスサイド千代田5F
〒102-0092
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FAX: 03(3262)6713

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■支社
熊本県熊本市中央区神水1-22-8
〒862-0954
TEL: 096(385)2366
FAX: 096(385)2085

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税制改正

「社会保障と税の一体改革」ということで、消費税の増税問題がクローズアップされ、目の離せないところですが、東日本大震災に関連して既に制定された復興特別所得税や復興特別法人税など、すでに改正や制定されたものが多くあります。また今後改正や見直しが確実視されているものもあります。その中でも医業経営にとって大きな影響のある項目について説明します。

1. 認定医療法人の贈与税非課税要件が大幅に緩和 NEW

■制度の改訂
純資産額の増大した「持分あり医療法人」についての相続税負担や払戻し請求権の問題解消のために認定医療法人制度があります。この制度は平成29年9月までの時限立法でしたが、要件が緩和されるとともに3年間延長され平成32年9月までの適用となりました。

従来の認定医療法人制度は、認定医療法人になって持分を有する個人が、その持分の全部または一部を放棄し、移行期限までに持分なしの医療法人になった場合、出資者の相続税や出資者間のみなし贈与税が猶予、免除されました。

ただし、持分なしの医療法人になることによって相続税等が不当に減少する場合には、その医療法人を個人とみなして贈与税が課されます。不当に減少しない場合として

  1. 運営組織が適正
  2. 理事6人、監事2人以上
  3. 役員のうち親族は3分の1以下
  4. 医療機関名の医療計画への記載
  5. 法人関係者に利益供与しないことなど

以上の要件を満たすことによって、医療法人への贈与税が非課税となりました。
この要件は、具体的には大変厳しく特定医療法人や社会医療法人の認定要件と同様の要件となっていました。従って認定医療法人にはなれるが、医療法人への贈与税が非課税となる要件を満たせないケースが大多数でした。そのためせっかくの認定医療法人制度も持分問題解消の切り札にならないと解され、実際の申請件数も伸びませんでした。

平成29年度税制改正では、上記の贈与税非課税要件が、次のように緩和されました。

  • 運営に関する要件
  • <運営方法>
    1. 法人関係者に利益供与しないこと
    2. 役員に対する報酬等が不当に高額にならないような支給基準を定めていること 株式会社等に対し、特別の利益を与えないこと
    3. 遊休財産額は事業にかかる費用の額を超えないこと
    4. 法令に違反する事実、帳簿書類の隠ぺい等の事実その他公益に反する事実がないこと
  • <事業状況>
    1. 社会保険診療等(介護、助産、予防接種を含む)にかかる収入金額が全体収入金額の80%を超えること
    2. 自費患者に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準によること
    3. 医業収入が医業費用の150%以内であること

ただし、持分なし医療法人への移行完了後6年間、運営状況を厚生労働省へ報告しなければなりません。要件を満たさないことになった場合は、贈与税の取り戻し課税を受けることになります。

■実際の適用
すべての「持分あり医療法人」が認定医療法人制度を受けたらよいというわけではありません。「持分あり医療法人」とは、出資社員の退社時または法人解散時に、出資社員が出資した割合に応じて法人資産を払い戻すことができる法人で、例えば、出資金1,000万円のうち500万円を出資した人は、この法人の純資産の2分の1(純資産が2億円ある場合には、1億円)を払いもどすことができます。

認定医療法人は、出資持分を放棄することを前提にしていますので、放棄によって個人財産が減少します。個人財産が減少しても法人の運営を優先する場合には認定医療法人を選択し、出資者が出資金を持分に応じて換金したい場合には、認定医療法人を選択しないか、認定医療法人選択の前に退社して持分払戻し請求をすることになります。

  1. 認定医療法人制度を利用すべきケース
    1. 医療法人を設立した際に出資した方々が高齢化してきた。将来、これらの方が亡くなった時には、出資持分も相続されますが、相続人に払戻し請求されたら、法人の経営が成り立たなくなる場合。
    2. 医療法人を設立した当初は診療所だったが、今では大規模な病院や老人保健施設等を経営するまでになった。法人の純資産額(資産−負債)は大きくなっているが、土地建物、医療器械等の固定資産が多く、預金等の割合が少ない資産構成になっている。この状況で出資社員が退社して払戻し請求されたら病院等の経営が成り立たなくなる場合。
    3. 持分問題を解決し、医療法人自体が法人税率の低い法人や非課税法人になるには、特定医療法人、社会医療法人になることですが、公益性が求められるため厳しい認可要件があります。その高いハードルはクリアできないが、贈与税の非課税要件は満たせる場合
  2. 認定医療法人制度を利用しなくてよいケース
    1. 医療法人の運営が長年に渡り順調に行われ、負債は少なく純資産が多いが、資産内容も預金等が多く、退社社員に払戻し請求されても、法人の運営には支障をきたさない場合。
    2. 医療法人の運営が長年に渡り順調に行われ、負債は少なく純資産が多いが、今後、理事長や理事の退職金を支払うと純資産が大幅に減少する場合

順番として、ある程度規模の大きな病院等を経営する「持分ありの医療法人」は、まず特定医療法人、社会医療法人を検討し、その認定要件をクリアできない場合には、次に認定医療法人の選択を検討します。クリニックを経営する「持分ありの医療法人」は、将来の役員退職金等も考慮に入れながら純資産額が多額にならないよう法人運営を行います。既に純資産額が大きくなっている場合には認定医療法人の選択を検討します。

■今後について
一般の会社には事業承継税制が設けられていますが、医療法人には適用できませんでした。平成26年に認定医療法人制度が誕生しましたが、贈与税の非課税要件が厳しく、実際の申請件数は伸びませんでした。今回、贈与税の非課税要件が緩和されることによって、ようやく医療法人の事業承継税制が整備されたと言えます。ただし、平成32年9月までの時限立法となっていて、その後延長されるかどうかは不明ですので、今回が医療法人の今後の運営方針を検討する良い機会です。

持分問題を抱える医療法人で、認定医療法人制度を使って問題解決されたい医療法人の社員・医師の方は、当社まで連絡をください。

2. 相続時精算課税の見直し案

  現行 改正案
贈与者 65歳以上の者 60歳以上の者
受贈者 20歳以上の推定相続人 20歳以上の推定相続人及び孫

贈与者の年齢制限を下げ、受贈者を一世代超えた孫まで対象を拡大しています。
相続時精算課税は、相続を待たずに生前において世代間の財産移転を容易にしようとする制度ですが、この改正はさらに世代を超えた財産移転を促すものです。

3. 法人税率の引き下げ

>> 法人税率の改正前後の比較表
法人区分 改正前 改正後
本則 特例 本則 特例
普通法人(大法人) 30%   25.5%  
中小法人 30%   25.5%  
うち所得800万円以下 22% 18% 19% 15%
特定の医療法人 22% 18% 19% 15%

平成24年4月以降に開始される事業年度から適用されます。
特例は、平成24年4月から平成27年3月までに開始する事業年度に適用されます。
出資金1億円以下の医療法人の実効税率(所得に対する法人税、法人住民税等の割合)は、約36%でしたが改正後は約30%になります。ただし、平成27年3月まで復興特別法人税の上乗せがあるため約33%になります。なお特定医療法人の実効税率は約26%でしたが、約22%になります。

4. 所得税の最高税率の見直し

現在、課税所得1,800万円を超えた部分については、所得税の最高税率40%と、住民税の10%が課されるため合計50%の税率となっています。平成27年分から課税所得が4,000万円超の部分には所得税を45%に引き上げられます。高額所得者の4,000万円を超える高額分には住民税の10%含め55%の課税、さらに平成49年まで復興特別所得税が上乗せになりますから、最近にない高税率になります。

5. 相続税の基礎控除及び税率の見直し(平成27年1月1日以後適用)

■基礎控除の引下げ

現行
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
改正
3,000万円+  600万円×法定相続人の数

改正後は法定相続人が3人の場合、基礎控除額が3,200万円減少します。
この引き下げにより課税対象者が拡大されます。

■税率の見直し(平成27年1月1日以後適用)
法定相続分が3億円以上の場合、最高税率50%上限が同6億円以上は55%上限に引上げられます。

6. 贈与税率の改正

贈与税は、その年1月1日から12月31日までに贈与された額の合計から基礎控除額110万円を控除した額=課税価格に次の税率を乗じて計算します。例えば、ある年に祖父から100万円、祖母から100万円の贈与を受けた孫は、年間200万円の受贈合計額から基礎控除額110万円を引いて90万円の課税価格について贈与税を計算します。

現行 平成27年1月改正
右以外の一般の贈与 20歳以上の者が
直系尊属からの贈与
課税価格 税率 課税価格 税率 課税価格 税率
200万円以下 10% 200万円以下 10% 200万円以下 10%
200万円超
300万円以下
15% 200万円超
300万円以下
15% 200万円超
400万円以下
15%
300万円超
400万円以下
20% 300万円超
400万円以下
20% 400万円超
600万円以下
20%
400万円超
600万円以下
30% 400万円超
600万円以下
30% 600万円超
1,000万円以下
30%
600万円超
1,000万円以下
40% 600万円超
1,000万円以下
40% 1,000万円超
1,500万円以下
40%
    1,000万円超
1,500万円以下
45% 1,500万円超
3,000万円以下
45%
1,000万円超 50% 1,500万円超
3,000万円以下
50% 3,000万円超
4,500万円以下
50%
    3,000万円超 55% 4,500万円超 55%

7. 給与所得控除の見直し

給与所得者の必要経費的な性格として、給与所得の計算に際し、給与収入から控除される給与所得控除額が平成25年から改正されます。給与収入1,500万円以上は245万円が上限になります。

>> 改正前
給与収入 [A] 1,500万円 2,000万円 3,000万円 4,000万円
給与所得控除 [B] 245万円 270万円 320万円 370万円
給与所得 [A-B] 1,255万円 1,730万円 2,680万円 3,630万円
>> 改正後
給与収入 [A] 1,500万円 2,000万円 3,000万円 4,000万円
給与所得控除 [B] 245万円 245万円 245万円 245万円
給与所得 [A-B] 1,255万円 1,755万円 2,755万円 3,755万円

給与収入4,000万円の人は、125万円給与所得が増えることになり、所得税と住民税では税率50%ですから62.5万円の増税になります。この改正は個人医院から医療法人化して役員給与を払う時の節税メリットを減少させます。

8. 退職所得課税の見直し

退職所得の計算は、老後の生活資金確保の見地から他の所得と異なり、所得計算に際し2分の1を乗じて計算します。短期間に給与額を抑えて退職金を高額にするような事例があるため、その防止策として平成25年から改正が行われます。

退職所得=(退職金収入−退職所得控除額)×1/2

勤続年数5年以下の法人役員等の退職金については、2分の1課税が廃止されます。ただし勤続年数5年超の退職金はこの改正の影響を受けません。

9. 復興特別税の創設

■復興特別所得税
平成25年から平成49年までの25年間、所得税額に2.1%が上乗せ課税されます。

■復興特別法人税
平成24年4月から平成27年3月までの3年間に開始する事業年度の法人税額に10%が上乗せ課税されます。
→平成26年3月までの2年間に短縮されました。