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税理士法人 メディカルビジネス

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介護保険改正

平成27年度介護保険制度改正は、団塊の世代が75歳以上となり介護が必要な高齢者の数が急増するとみられていることに備えるべく2025年(平成37年)を見据えた施策(「地域包括ケアシステムの構築」、「介護保険制度の持続可能性の確保のための重点化・効率化(費用負担の公平化)」)が提示されていることもあり、これまでの介護保険制度改正以上の影響がありそうです。今回特に介護サービス利用者、介護保険サービス事業所に影響が大きい改正内容について解説します。

1. 介護報酬大幅引き下げ 介護報酬全体を2.27%引き下げ

社会保障費の抑制のため、全体的に平均2.27%(処遇改善:+1.65%、介護サービスの充実:+0.56%、その他:▲4.48%)引き下げられ、基本的なサービスを提供した場合の報酬の大部分が下がりました。マイナス改定は、平成18年度以降9年ぶり。

中でも利益率の高さが指摘されていた特別養護老人ホームは、報酬の基本部分が6%程度下げられました。
一般的なデイサービスも5%程度下げられ、さらに衝撃的なのが小規模デイ(▲9%)、予防デイ(▲20%〜▲22%)に至っては、事業継続に影響を与えるほどのマイナス幅が示されています。

一方で、報酬の基本部分とは別の加算報酬部分は全体的に上がりました。
介護職員処遇改善加算や日常生活継続支援加算、その他認知症・中重度への加算などが上げられましたが、介護職員処遇改善加算については職員給料として人件費で出ていきますので介護事業者にとっては、事業の見直しが迫られる改定内容です。

2. 介護職員の賃金を月12,000円引き上げ

人手不足が深刻な介護職員の待遇改善では、労働環境の改善や研修を行った事業者に、介護職員の賃金だけに使える報酬額を現在より約12,000円増やせるようになります。多くの事業で基本報酬に対する加算率が約2倍に増えております。

主なものを挙げると特養・短期入所 2.5%→5.9% 通所介護1.9%→4.0% 老人保健施設1.5%→2.7% 療養型医療施設1.1%→2.0%です。

介護職員処遇改善加算は、現行の仕組みは維持しつつ、更なる資質向上の取組、雇用管理の改善、労働環境の改善の取組を進める事業所を対象とし条件を定めています。

3. 所得が一定以上だと利用者の自己負担は1割から2割に

介護保険の財源は、1/2が国と自治体、残り1/2を40歳以上の被保険者が支払う介護保険料で賄われています。大介護時代に突入すると、今の介護保険制度自体の持続性も危ぶまれます。そのため、今までは介護保険サービスを利用するには、年収などにかかわらず1割を利用者が負担していましたが、改正後は一部の利用者の負担が増えることになりました。

平成27年8月から、合計所得金額が160万円以上(年金収入280万円以上)の人は自己負担が2割になります。「年金収入280万円以上」となるのは、モデル年金や平均的消費支出の水準を上回り、被保険者の上位20%に該当する層にあたります。厚生労働省は、在宅サービス利用者の約15%、特別養護老人ホームの入居者で約5%が2割負担になるとみています。

今まで1割負担だった方が2割負担になるので、負担が今までの2倍になるのではという疑問がありますが、高額介護サービス費という上限限度額が設定されているので一概にはそうはなりません。その高額介護サービス費もあわせて改正されていますので下記4.を参考にしてください。

4. 高額介護サービス費の上限も引き上げ

在宅介護サービスは要介護度ごとに、1カ月の1割負担で利用できる上限額が決まっています。例えば、要介護2なら約196,000円、要介護5なら約360,000円です。自己負担割合は1割のため、月にそれぞれ約19,600円、約36,000円です。上限額を超えたサービスはすべて自己負担になります。年金収入が少なかったり、夫婦で介護サービスを利用していたりすると、家計の負担が重くなることもあり、こうしたときに役に立つのが「高額介護サービス費」です。公的医療保険における「高額療養費制度」同様、所得に応じて1カ月の自己負担限度額が決まっていて、それを超えると払い戻される仕組みになっています。この自己負担限度額が高所得者は引き上げられます。

一般の課税世帯の限度額は月37,200円ですが、平成27年8月から新たに所得区分が1つ増え、一定の所得以上の高齢者の上限額は引き上げられます。
一般世帯は37,200円が上限でしたが、一般的な所得以上の方(現役並み所得者)については、44,400円が新設されます。高所得者44,400円と一般37,200円に分かれ、非課税世帯の24,600円は変わりません。高所得者とは医療保険の高額療養費基準と同様で1人年収383万円、2人520万円以上です。

平成27年8月より高所得者の自己負担が2割になりますが、自己負担限度額が44,400円のため、今まで要介護度5で1割負担36,000円だった場合は、2割の72,000円にならず44,400円となります。しかし、介護度2で1割負担19,600円だった場合は、2割負担39,200円となり介護度が低い方が負担増になります。

5. 低所得者は介護保険料が引き下げ

65歳以上の高齢者が支払う介護保険料は市町村によって基準額が異なりますが、全国平均で月額4,972円です。所得が低い人は段階的に保険料が軽減される仕組みになっています。この軽減率が平成27年4月から拡大されます。

軽減の対象になる人は、世帯全員の住民税が非課税か、本人が非課税であることが前提です。対象となれば、次のように保険料負担が軽くなります。

介護保険料が軽減する人と負担率
  平成27年3月末までの保険料 平成27年4月以降の保険料
生活保護被保護者、世帯全員が市町村民税非課税の老齢福祉年金受給者等 基準額×50% 基準額×30%
世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入等80万円以下等
世帯全員が非課税かつ本人年金収入等80万円超120万円以下 基準額×75% 基準額×50%
世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入120万円超等 基準額×75% 基準額×70%

※保険料基準額は市区町村により異なります。
実際には、自治体が独自に軽減や上乗せの割合を決めているので、住んでいる自治体の内容を確認する必要があります。

6. 「要支援」サポートが市町村へ

現在は「要支援1・2」の下に「要介護1〜5」があり、この要介護認定を受けた人が、所定の介護サービスを受けることができます。

要支援は身体介護の必要はほとんどなく、買い物や調理、洗濯、掃除といった生活面の一部に支援が必要な状態です。この27年4月より3年かけて「医療介護総合確保推進法」を基に、「市区町村が取り組む地域支援事業」に移されることになりました。

訪問介護は、ヘルパーが自宅で入浴のサポートをするなどのほか、掃除や料理などを手助けするものです。一方、通所介護レクリエーションを楽しんだり、機能回復のための訓練を行ったりなどのほか、入浴の介助もしてくれます。

これまでは、全国一律のサービスだったものが、市区町村に移行することで、市区町村の財政状態やトップの意識次第で、NPOやボランティアにも頼めるため、多様なサービスの提供が可能になるとみられています。「訪問介護」「通所介護」が介護保険の適用外となるということですので適用外=10割負担かというとその金額は市町村ごとに変わってきますし、ある程度の補助も見込めます。ですから今までの10倍の料金を払うような極端なことにはならないと思われます。

7. 「特別養護老人ホーム」入所は要介護3以上に

介護保険の施設である「特別養護老人ホーム」は、有料老人ホームなどに比べて利用料も安く、要介護度が重くてもケアし52万人にのぼり、すでに深刻な施設不足に陥っています。そのため、平成27年4月より入所条件が設けられ、より厳格になります。原則、新規入所は要介護3以上の人に限定されるようになります。

なお、この「要介護3以上」の制限は新たに特別養護老人ホームに入所する人の基準で、現在すでに特別養護老人ホームに入居中の人は、要介護1、2であっても、そのまま入居を継続できます。

また、要介護度が1、2と低くても、所定の「やむをえない事情」に該当する場合は、新規入所できることになっています。

「やむを得ない事情」の例としては、

などが挙げられています。

8. 居住費の大幅見直し

平成27年4月より居住費の利用者負担限度額が特別養護老人ホームの多床室で1日320円から1日370円に上がります。そのため1日50円の利用者負担額が増加し、事業所の居住費収入も増加します。厳しい減額改正の中、貴重な増収財源です。これは直近の家計調査による水道光熱費の額が負担限度額を上回っていたための見直しであります。

さらに平成27年8月より介護報酬本体の一部に入っていた居住費部分の多床室470円/1日を本体から外し居住費に移動され370円+470円=840円/1日になります。
そのため、報酬は470円/1日減少しますが、居住費収入が470円/1日増加します。

ただし低所得者の場合居住費上限370円/1日のため負担額は変わらず、高所得者のみ負担が増加します。低所得者の居住費補填は今まで通り介護保険よりされます。さらに平成27年8月より食費・居住費が軽減される制度は所得だけでなく下記9.の通り資産も判定基準対象になります。

9. 施設の食費や部屋代の補助認定も厳格化

特別養護老人ホームや介護老人保健施設に入所した場合、食費や部屋代は原則自己負担です。しかし、所得が低い人にはこれらの費用を軽減する仕組みがありますが、その仕組みを利用できる認定基準が厳しくなります。

これまでは所得(市区町村民税非課税)だけで判定していましたが、これからは預貯金もチェックされることになります。たとえ所得が低くても、単身で1,000万円、夫婦で2,000万円を超える預貯金を持つ場合は、補助の対象から外されます。また、世帯分離をしていても、配偶者に住民税が課税されている場合は対象外になります。今までは、遺族年金や障害年金については非課税収入でしたので収入にカウントされていませんでしたが、平成28年8月からはこれらも収入とみなして判定することになりそうです。

預貯金額は自己申告ですが、通帳の写しを提出し、市町村によって金融機関から情報を得る権限を用いて、不正給付発覚の場合は不正額の最大3倍を求められます。

尚、この資産判定基準は、介護保険サービス費の自己負担が1割から2割になる判定や高額介護サービス費の限度額の判定には適用されず、食費・居住費が軽減される制度にのみ適用されます。